有機小麦と自然栽培の小麦、違いを少し紐解きます


オーガニックシュトレン、ノアR-100%

クリスマスまであと僅かとなりました。
近年のシュトレン人気には目を見張るものがあり、食べ比べの記事もちらほらと目にします。

もちろんお店によって味の違いはあるでしょうが、それらを飛び越えて別の代物になっている、そんなシュトレンを知ってますか?

凄く貴重なこのお店の近隣にお住まいの方は、本当に幸運だと思います。

 
以後は少し前に 慣行小麦を有機小麦へ転換する生産者がまったく増えない理由 で書いた内容の続きになります。

自然栽培の小麦において、あまり試算したくないと言うか、あえて目を背けていたと言うか、でもいつまでも胸の内に留めても仕方ないですもんね。

有機栽培は有機質肥料を使用して栽培するオーガニックな農法です。
自然栽培は無肥料で栽培するオーガニックな農法です。

同じオーガニックでも、肥料を使う使わないの違いは、もの凄く大きくて、こと「肥で育つ」と云われる小麦では、その違いは甚大なものになります。

前回、有機小麦は慣行小麦の約7割の収穫量で試算しています。
自然栽培小麦は、慣行小麦の約1割から多くても約5割、自然栽培での収穫量はバラツキが大きくて一概に言えませんが、経験則から反収3俵として試算を進めます。

前回のテンプレートがあるので、有機小麦を自然栽培小麦に置き換えます。

自然栽培小麦で10アールあたり約100,000円の生産者手取りにするには、1俵あたり約33,333円。
自然栽培小麦は等級やランクが下がる傾向にあるので、交付金は6,000(中力)~8,000(強力)円で計算すると、品代は1俵あたり27,333円。
自然栽培小麦は強力品種の減収が大きいため、強力小麦は品代での調整が必要。

リスクを考慮して試算に加えます。
33,333×1.2-6,000=33,999で品代が約34,000円。

適正?と思われる、品代の一覧。

慣行小麦 3,000円(キロ50円)
有機小麦 12,000円(キロ200円)
自然栽培(無肥料)小麦 34,000円(キロ566円)

消費税はもちろん別途です。そして交付金ありきの価格です。

自分自身あまり見たくない数字なのですが、ノアは交付金対象にならないので、33,333×1.2の39,999円で約40,000円が採算ラインになります。

ノア 40,000円(キロ666円)

もちろん、この価格では誰も使わないでしょうから、好きでやってることもあり、それなりの価格で卸させていただいてます。

米の減反政策がなくなるようで、転作奨励金ありきの有機小麦は姿を消す可能性もあり、ますます国産有機小麦は希少になるかもしれません。
ましてや自然栽培小麦なんてもっての他なのは、上記試算でおわかりかと思います。

それでも(儲からなくても)いいと栽培する人が、いなくなることはないでしょうけど、「自然栽培小麦とは何か」を少しでも知って考えていただけると、身を削っておられる方々も少しは報われるのかなと思います。