慣行小麦を有機小麦へ転換する生産者がまったく増えない理由


国産有機小麦のノア-i6083を100%使用、添加物一切なしの自然な食材のみ、ベーキングパウダーも不使用。

「小麦粉おいくらですか?」「キロ500円ですよ」「うわー安い!」と言ってくれたのは後にも先にもこの方だけです・・・。

さて、本題に移ります。

まずは以前書いた内容の復習です。
慣行小麦は10アールあたり約100,000円の生産者手取りが一般的である。
慣行小麦は10アールあたり約8~12俵の収穫量、一般的な値として約10俵とする。
生産者手取りの内訳は、1俵あたり品代3000円+交付金6,500(中力)~8,500(強力)円の合計9,500(中力)~11,500(強力)円。
強力の交付金単価が高いのは、強力品種は同じ管理でも収穫量が低いからです。
10アールあたり約100,000円になるように、上手く交付金で調整されています。

これが有機小麦だと試算はどうなるでしょうか?
有機小麦の10アールあたり収穫量は慣行小麦の7割と言われており、一般的な値として約7俵の収穫量とする。
有機小麦で10アールあたり約100,000円の生産者手取りにするには、1俵あたり約14,285円。
有機小麦は等級やランクが下がる傾向にあるので、交付金は6,000(中力)~8,000(強力)円で計算すると、品代は1俵あたり8,285円。
有機小麦は強力品種の減収が大きいため、強力小麦は品代での調整が必要。

机上の計算では1俵あたり品代8,285円が適当であるかのように見えます。
見えますが、このままでは有機のリスクや心労・労力の増加分、経費の増加分はまったく考慮されていないので、適正な価格とは言いかねます。

では、慣行から有機転換してもいいかな?と思える適正な価格はと言うと、リスクを考慮して最低でも2割増し位ないと誰も相手してくれないと思いますので、14,285×1.2-6,000=11,142で品代が約12,000円ですね。

結局農業も経済行為ですので、適正もしくは儲かるならするし、適正に及ばないのであれば誰もしないのは、ある意味当然な訳です。
現状で品代12,000円支払いますという買い手は皆無なので、生産者もまったく増えないんですね。

ちなみに、ここでの有機小麦とは、厩肥多用の文字通りの有機小麦です。
ちなみに、上記品代は何トンでもあるだけ買いますの価格で、一般的に小売される場合は、再選別や製粉・小分け、問屋を通して倍以上の価格になるのが普通です。