カテゴリー: pirkaamam lab

粒のまま焼いた小麦


小麦を深く知るために その3

パン屋さんに玄麦(小麦)をたくさん送っているのだから、自分でもパンを作ってみた方が良いのではないか?と常日頃から頭の中にあるのですが、多忙にかまけてかパンに恵まれてか一向に実現する事なくもう何年もたってしまいました。

そしてようやく、本当にようやく、心を鬼にしてまで、パンを作る道筋が見えました。

どうせなら小麦の起源から順に辿って、いやいやどうせなら人類の起源からと、またパンから遠のき始めたので、そこはぐっと我慢して、ある程度は進化をスキップしていこうと思います。

野山 → 倉庫
火おこし → ライター
たき火 → 薪ストーブ
石器 → フライパン

まずはスペルト小麦を粒のまま焼いてみました。出来上がりは上出来でポリポリして食べやすく美味しかったのですが、これでお腹を満たすのは大変なような気がしました。※小麦を粒のまま生食するのは普段からしてますので達成済みです。


次に小麦を炊こうかとフライパンに水と小麦を入れてストーブに乗せておいたのですが、麦磨きや袋詰め出荷作業をしている間に、お湯が蒸発してなくなって、また黒炒り小麦を食べるはめになりました。

このままではらちがあかないので、何か手頃な容器がないか見回すと、空の猫缶カムイがあったので、衛生面を考慮して熾火で真っ赤になるまで焼きを入れました。

結果、缶の内側のコーティングが焼けておどろおどろしい色になって、お湯は茶色くなりどんな重金属が潜んでいるのか不安になり、そこで頓挫しました。

焼き蒸しカムイ


小麦を深く知るために その2

ある物で何とかする自給生活、ゴールデンカムイのアシリパさんの教えから目の前にある物を「~カムイ」と呼びます。アイヌ語でカムイ=神で、全てのものにカムイが宿り、全てがカムイであると言う思想です。

倉庫内で目の前に現れた「鉄フライパンカムイ」と「(ダイソー)ボールカムイ」で薪焼き蒸し器を組み立てました。

仕込みは10:00、今日のお昼ランチの準備をしました。


お昼にはちょうど出来上がってました。

薪焼き蒸しした今日のランチメニューは、「ノア100%北の大地パンカムイ」と「オフイビラさやあかねカムイ」です。


古今東西、ジャガイモをこれ以上に美味しくできる調理方法はないと思います。※盛り付けしたお皿はダンボールカムイを使用しております。

猫がジャガイモを食べているのを初めて見ました。気のせいか焦げた所が特に美味しいような表情でした。

撮り忘れましたが、ハード系のパンを薪焼き蒸しすると、とんでもなく美味しくなる事を発見しました。

無農薬のさやあかねは「オフイビラ源吾農場オンラインストア」からご購入いただけます。

倉庫に薪ストーブを設置しました


小麦を深く知るために その1

原始的な栽培、原始的な収穫、原始的な品種、今までして来た事は食の以前でした。

冬期間は倉庫での出荷作業が主になるのと、あまり外出の出来ないご時世のため、これを機に小麦の食の起源を実体験して、より深く小麦を知れたらと思ったしだいです。

出荷作業の合間に倉庫内で出来るよう、まずは厳寒期の寒さを凌げるように薪ストーブを設置しました。

農機具倉庫なんてものは壁も天井もトタン一枚のペラペラなもので、雨風はしのげるもののほぼ野外と変わりありません。こんな小さなストーブでどのくらい寒さをしのげるのでしょうか?


廃木材が沢山あるのでそれを燃やしました。

電気や石油ストーブとは全然違いますね。ダイレクトに熱が伝わってくるというか、熱が刺さり込んでくるようです。猫達もそれを感じていたようです。

まだ今は日中プラス気温(3~5℃)でこんな小さなストーブでも十分に暖かく、体が冷えてすぐ家に帰ろうとは思わなくなりましたけど、1~2月のマイナス-10~20℃をしのげるのか今から楽しみです。

もはや小麦は原始的倉庫生活のついでになりそうな気配です。

ワンパス精米機を使った小麦の精麦(ピーリング)


ワンパス精米機は価格がこなれていて、省スペース、低騒音、ヌカ受けボックスがあり埃が舞うことなく、構造がシンプルなため壊れにくくメンテナンスも簡単です。

程よい「タンク容量30KG」、タンク内の原料が無くなると「自動停止する機能」があり、非常に使い勝手が良いです。

※お米が美味しい精米方式と宣伝されている「循環式精米機」は精麦機としては構造的に不向きです(30KG-2%の精麦に2時間、結構割れる、少量での動作は出来ない等)。


スパイラル状のシャフトが小麦(米)を送り、金属部に小麦が擦れてフスマ(外皮)を削る仕組みです。

削れたフスマはシャフトの丸穴から吹き出すエアーによって分離されます。※メーカーによっては外側から吸引するタイプもあります。


操作パネルのダイヤルで小麦が金属部に擦れる圧力を調整できます。圧力を強くすればフスマは多く削られますが割れも多くなります。

それでは試しに、ノアスプリングをダイヤル3時の方向で2%のピーリングを行います。


1,000gの原料で削られたフスマは20gでした。2%のP2です。


少々割れてはいますが、すぐに石臼等で製粉するなら特に問題はないでしょう。

新品ワンパス精米機10万円でピーリング料金500円なら約200袋で元が取れます。程度の良い中古5万円で約100袋、激安中古2.5万円なら約50袋、月に2袋の使用で2年で元が取れる計算になります。

様々な生産者さん(輸入含む)の小麦やライ麦を精麦したり、お米も精米したての美味しいものがいただけます。※米⇔麦切り替え時には掃除が必要でおっくうになりどちらかの専用機になると思いますが…。


ダイヤルを6時の方向に、圧力をぐっと強めてみます。

投入する原料は先程のノアスプリングP2を使いました。


削られたフスマは80g。先程の2%+8%で10%のP10です。

※厳密には割れた小麦が多く含まれるためフスマだけの10%ではありません。


より綺麗にはなってますけど、割れロスを考えると実用的ではないと思います。

注意点として、中力品種は柔らかくてより割れやすいです。ゆめちからのような硬い超強力品種はワンパス精米機での精麦に向いていると思います。

ばあちゃん直伝の育種法


育種-短稈難脱2020 #pirkaamam#bio#organic

「わしはスイカを美味しく作る名人と呼ばれている」「スイカの種は?」「食べて美味しかったスイカの種を取っといて蒔く」

まさかこの子供の頃の会話が今に活かされるとは。


育種中の短稈難脱小麦に白っぽい穂と茶色い穂があったので分けたくなって分けました。

おまえら邪魔すんな!かわいいね。


何千年前の人もきっと分けたくなって分けたんだろうと気持ちが理解できました。

あと、穂の色が中の粒の色と微妙にシンクロしてるのを今日発見しました。

日頃から小麦の粒をそのまま味見する癖をつけてるんですけど、穂の色や形の違いや粒の硬さの違いこそあれども味の違いはあまり感じられず、どれもお世辞にも美味しいとは思いませんでした。


何となく最後に口にしたこちら、先日書いた新種のるつぼスペルトバージョンの籾摺り後の粒。

まったく期待せずとりあえず捨てなかっただけだったのですが、15粒位まとめて食べてびっくりトウモロコシのような味がするではないですか。再度15粒ほど無造作に選んでもやっぱりします。

出来ることなら粒を特定したかったので色や形を観察しながら食べると、味のないものが殆どで、時おりトウモロコシのような濃厚味の粒がありました。

食べた後に分かっても種として継げないため、まだ数粒は残っているであろうこの全部を蒔いて、来年そこからコーン株を探そうかと思います。

そして昔のスイカの事を思い出して確信しました。本当の育種というものを。

2~3圃式、緑肥活用無施肥有機栽培の可能性


イエローマスタード2020 #pirkaamam#bio#organic

小麦と同時播種した白クローバを後作緑肥として活用後のマスタードは、無施肥でも倒伏するほど生育が良いです。


ライ麦2020 #pirkaamam#bio#organic

マスタードを休閑緑肥として活用後のライ麦も生育旺盛で一部倒伏してます。

有肥料栽培から無肥料栽培へ切り替えた場合、残存している肥料分で数年は地力が持つのはわかります。でも、5年10年無施肥を続けてもこうした光景が見られるなら、天然供給や緑肥活用に大きな可能性を感じます。


ノア7 #pirkaamam#bio#organic

ただ、一筋縄ではいかないのが現代小麦で、年々右肩下がりの底なしで生育が劣ってきてます。

今年の現代小麦(ノア7)、スペルト、ライ麦の生育の差を目の当たりにして、とある疑問を持つようになりました。


スペルト2020 #pirkaamam#bio#organic

現代小麦の生育が著しく劣る地力の低い石の多い圃場ですが、スペルトはそこそこの生育をしてます。

多肥で増収するべく倒伏しにくい短稈に育種を重ねてきた現代小麦と、野生の原種に近い古代小麦(スペルト)とでは、根の養分吸収能力に違いがあるのではないか?

仮にそうだとすると、多肥前提で育種されてきた現代小麦を自然栽培するのは、そもそも間違いではないのか?

スペルトや特にライ麦を見て、その思いはとても強くなってきてます。

現代小麦は(自然栽培では)生育が悪いだけではなく、短稈、根はりも含め次の世代への植物性残渣も少なく、結果地力の減少に拍車をかけているような気にさえなってます。※白クローバが補ってます。

出費0円、庭の敷石とその辺にあったレンガを使った薪石窯


薪火野×pirkaamam研究室 その2です。

三号釜は横サラマンダー方式。製作1時間。

エジプト式を改良した形でしょうか、焼成室を燃焼室の隣に設けた横2層式で、炎は横穴から入ります。
石釜の庫内面積を4倍に増やしております。


焼き色が少し薄かったので、直火で炙ってみました。

敷石と普通のレンガを簡単に組んだだけなので保温性が悪く、加熱をやめた時の温度低下が早いようです。


簡易石窯にしては上出来のカンパーニュになりました。
次回の課題は綺麗なクープです。

ちなみに、ピタパンは問題なく上手に焼けました。

4号釜は横サラマンダー方式のまま、燃焼室を少し下げて広くし熱風温度を上げる試みで、炉床の温度を上げる目的はそこそこ達成できました。

後は、薪火野準備室の中山さんに託します。
石窯が完成して、立派なカンパーニュが焼けたら送ってください!

薪火野×pirkaamam研究室


1号窯 一層エジプト式

まず最初はここから。構想半日、製作30分。
千里の道も一歩から。やらないと始まらない。

すす切れを確認後、カンパーニュを投入。
結果は生焼け。

蓄熱の少ない小さい石窯でのエジプト式は、底板を温める効率も構造上悪いですし、改良の余地ありに感じました。


自家製酵母&石窯焼きのパン ごりらのしっぽさん

薪窯のパン屋さんが頭に浮かんだのですぐに連絡。思い立ったら吉日。
快くおいでと言ってくれました。


なんと自作だそうです。本格的な釜に驚きました。

唯一無二の石窯で焼かれたパンは唯一無二の風味です。
お近くにお立ち寄りの際は是非ご賞味ください。


2号窯 二層ごりら式

構想半日、組みなおし30分。
善は急げ。

課題は底板の温度アップ。トータル熱効率アップ。

猛烈な上昇火流が発生、1号釜比で薪使用量は約半分。

すす切れを確認後、カンパーニュを投入、熾火で底板を保温する作戦。
結果は丸焦げ。

特にパン底が激しく焦げていて、小さな石窯でも充分な熱量を確保できることを実証できました。
次の課題は庫内温度の安定化です。