カテゴリー: 雑記

土壌が凍結する前の駆け込み秋耕起を無事終えました


この辺りでは冬を迎えるにあたって、畑を耕し収穫残渣など鋤き込み、畑として土のみのニュートラルな状態に戻して、一年の作業納めとします。

今年この畑では、あんな事やこんな事、苦労や楽しい思い出など、畑ごとに思い返してはリセットしていく実に感慨深い作業です。

来年はどんな一年になるのでしょうか?
「来年の事を言うと鬼が笑う」らしいので、よく意味はわかりませんが、なんとなくわかるような気もするので、とりあえず目の前にある事からコツコツとこなしていこうと思います。

畑仕事が終わったから急に暇になる訳ではなく、3足のわらじが2足になった感じです。店ができたら4足ですね。無理がないよう頑張ります。

自然豊かで静かな暮らしの良さを示せるといいな


旧家屋をリフォームして宿泊部屋を作ろうと計画しています。

個室3部屋とお風呂、トイレ完備で、3人~多くて6人くらいまで泊まることができます。
主に農場を手伝ってくれるウーファーさんや研修生用として、清潔に快適に過ごしてもらうためで、無償で手伝ってくれる方にこれくらいはしないと、と思い奮発します。

おまけとして隣にパンカフェみたいなのも計画中です。
趣旨はウーファーさんの異文化交流の場としてですが、その他の用途ももちろん考えています。

例えば P.A.BAKER’S(仮) 1号店とかですかね。
4’Psに刺激をうけて目指せ世界100店舗!
は冗談で、まずは30個完売からかな。

全圃場でJAS有機認証の実地検査を受けました


ユキホマレ2017の圃場

当農場では農場の全圃場(全ての畑)で、JAS有機認証を取得しています。
今日は毎年行なわれるJAS認証を継続するための、年次審査における実地検査を受けました。少し前に書類検査のための書類は送ってありますので、それにもとづく検査となります。

農場内で有機と慣行を両方行なっている場合の方が多いそうで、それに比べると全圃場有機の検査はきっと楽でしょうね。


ホクシン2017収穫後の圃場

まあでも、つくづくおかしな制度ですよね。
もし農薬類が消費者や環境にとってあまり良くないのだとしたら、薬剤散布こそ適正に使用されているかしっかり検査されるべきだと思うんですよね。

って、毎年検査員の方に雑談として話すんですけど、理解と同意は得ても、何かが変わることはありません。でも、わかってくれるだけでも嬉しいです。

まあでも、JAS認証は別に強制という訳ではないので、もっと頑張ってシールに頼らなくても農場として信頼してもらえるよう、努力しないといけませんね。

未来の子供たちのために


春よ恋2017.bio収穫後の小麦畑

「未来の子供たちのために」素晴らしい標語だと思い、共感しよく使っています。
でも、未来の子供たちとは具体的に誰のこと?なのでしょうか?
顔は?名前は?浮かびますか?

未来の見知らぬ何千何万人のために何か出来るのなら、目の前の1人のために何かをするのは凄く容易いことではないでしょうか。

逆に目の前の1人のために今何も出来ないのなら、未来の何千何万人のために何か出来るとは到底思えません。

まずは、目の前の一人に何が出来るのかを考え1秒でも早く実行すべきです。
1秒は大げさかもしれませんね。とりあえず1日にしときましょうか。


S司さんとのコラボパスタ、yゆきさんのお店で。
どの料理もたいへん素晴らしいもので、パスタは特に心温まる1品でした。

「未来」とは?何秒何分何日何年後から未来とみなされるのでしょうか?
「子供たち」とは?何歳から何歳までが子供とみなされるのでしょうか?

1日後も未来ですし、人はみんな子供だったはずです。都合のよい線引きはしたくありません。

正直な話、自分がそんなにできた人間だと思っていなくて、だからこそ何かしなくてはと思う気持ちが強いのですが、掲げた緑の旗を見ていると、行動を先送りする理由がみつからないと思いました。

具体的には小麦を磨いて手よりしています。

真夏日30℃の登山から学んだこと


白雲山の山頂からの然別湖

北海道としては炎天下の中、上り2時間ちょい下り1時間ちょいの登山をしました。
大切なのは水です。水分ではなく水だと学びました。

凄く疲れたけど、頂上までくると達成感はありました。


山頂からの十勝平野

学んだというか再認識かもしれません。苦しくてもみんなで登ると楽しいし頑張れるんですよね。

きっとこれは日々の仕事にも通じることで、ずっと一人の時間が長かったけど、少しずつでもいいから変えていこうかな・・・と思いました。

自然栽培のことで参考にした書籍など3選

では、ランキング形式で発表したいと思います。
でも、何を参考にしたのかあまり覚えていないと言うのが本音です。
手当たり次第ほとんどの農業書は読んでいて、それぞれから何かを得ています。

第3位はこちら

海外翻訳図書です。慣行→有機転換の時にすごく参考や励みになりました。
アルバート・ハワード著の「農業聖典」(有機農法)
J.I.ロデイル著の「有機農法」(有機農法)
ルドルフ・シュタイナー著の「農業講座」(自然農法)
ポール・ホーケン著の「フィンドホーンの魔法」(自然農法)

第2位はこちら

江戸時代に発刊されたもので、その時点での集大成農業全集です。
中央に写っている本が特によく纏まっていて、読む回数も多かったです。

当然有機全盛の時代なんですけど、でも有機質肥料がふんだんにある訳でもなく、おのずと自然栽培よりになっていたようです。

土の色による違い、土を焼いて肥料にしたり、風呂の残り湯まで肥料にしたりと、初めて読んだ時はかなり衝撃をうけました。

現代日本の殆どの作物は網羅されており、有機・自然栽培のバイブルとして申し分なく、今でもこれを越える農業書はないと思っています。もうこれだけで充分です。無農薬するなら読まないと話になりません。

その他にも、わら一本の革命、ニンジンから宇宙へ、奇跡のリンゴ、EM関連本やMOA関係の本など現代日本の誇る農行書もとても素晴らしく、もちろん参考にしています。

第1位はこちら

※この畑ではどの本にも書かれていないことをしています。

自然から学ぶことのほうが多いです。
書籍は「参考」にすぎず、実体験はそれをはるかに凌駕していて全くの別次元なのは皆さんも知るところだと思います。

でも、ただ自然と触れ合うだけでは駄目・・・っていうことはありませんけど、自然と調和して一体感を感じるようになると心の感じ方もまた違ってきます。

心で感じることは普段の生活でも大切ですが、おかれる環境によっては時には危険だったりもします。そうしたズレやブレがなくなっていく感じでしょうか。

栽培上でわからないことがあっても、畑に座って例えば小麦などを観察して耳(心)を澄ませば、ちゃんと答えが返ってきます。
きっと多くの農業書もそうやって学び書かれたものだと思います。

なにより豊かな自然と一体感が出ると実生活も豊かになるので、自然から学ぶ一番の利点はそこなんだと思います。

準備が出来た時に師が現れるとは本当ですね

寒暖差の激しい毎日、体調にはお気をつけください。

何かと多忙な年度始め、さらに視察、会合が繰り返される気持ちの切り替えが忙しい毎日です。


S藤さんの有機ゆめちからの視察風景

こちらは有機質肥料などの資材をしっかりと使っている正統派有機栽培です。
収量も安定しているようで、オーガニックの見本のような畑です。

 

S江さんの2,3圃式緑肥自然栽培キタノカオリの視察風景

こちらは緑肥利用による低コスト有機栽培で、どちらかというと自然栽培のカテゴリーになります。
品質は高いですが、収量は安定していませんので、おそらく一般のオーガニックと同じ括りの現状では継続できるか悩ましい状況になるのではと思います。

 
後日その日から販売の師となった、自然栽培の農産物を扱うO笠農場の視察に行ってきました。

さらに後日その日から小麦の師となった、H瀬さんにも実にたくさんのことをご教授いただきました。

お二方は、共通して親切に丁寧に惜しげもなく教えてくれるんです。
販売に興味をもったタイミングで、育種に興味をもったタイミングで、この他にも選別の師や製粉の師にも絶妙のタイミングでご教授いただいています、その他にも他にも・・・。

「準備が出来た時に師が現れる、ていうか全てが師なんだよ」みたいな記述を以前目にしたことがありますが、全くその通りなんだとつくづく思います。自分が気付くか気付かないかだけですね。

有機JASの指定講習会でやっぱり感じる根本的な理不尽

今日は年に1度開催される、地元での有機JAS認定事業者の指定講習会に参加してきました。

今回の内容は新たな改定もそうですが、主に適合資材の正しい見分けかたについてでした。

有機生産者は、化学的に合成された物質を含まない有機質肥料(以下資材)を使う方が多いのですが、その資材を販売する業者さんが「有機適合ですよ」と証明したものを生産者が信用して使い、後に「実は不適合資材でした」となった時に、そこで発生した痛みの大部分は何故か生産者が請け負うことになります。

有機JASの本認証には最低でも3年かけて(中には人生をかけている方もおられます)有機的管理をするのですが、信じて無に帰すのですからたまったもんじゃありませんし、涙も出るってもんです。お金がどうこうって話だけじゃないんですよね。
※今回の改正で少し救済処置ができたようです。

今回の講師の方は、そんな涙に心を痛めたそうで、再発を防ぐべく適合資材の見分けかたを一生懸命みんなに教えていました。

資材の一例は有機JAS制度の理不尽の氷山の一角にすぎませんが、心ある方がおられるうちは、ここで認証を受けようと思います。

でも、制度の根底にあるものがあまりよろしくないと感じるので、なるべくなくしていく方向で進めたいと思います。

色彩選別機を自作してみた1


ここ数日最低気温が-29度になったり色々ありましたが、色彩選別機の自作に没頭していました

とにかく慣れない手より手より手よりで疲れてきたので、色彩選別機を物色していたのですが、まだ発達途上の機械な感は否めなく、性能と価格の不釣合いから購入に踏み切れないでいます。

米用の色彩選別機は進んでて価格もこなれてるんですけどね、小麦や豆などその他雑穀用はまだまだこれからのようです。

カメラで見て判断して弾くだけの現代では簡単すぎる機械なのに、なぜかありそうな小型卓上型がないんですよね。


小麦の赤い粒を識別しています

そのへんに売っているwebカメラがしっかりカラー認識してくれて、速度を求めなければ充分です。
あとは不良粒を弾く機能をつけて完成予定です。

予算1万円以下と手持ちのパソコンとコンベアで1チャンネルの色彩選別機は作れるみたいです。
手抜き自作の欠点は能力が手よりより遅いことと、表面しかみれないことです。
勉強にはなりましたが、手よりでいい気がしてきました。

有機JAS認証は本来必要ないもの

本来は必要なし

生産者と消費者が顔見知りなどで信頼関係にあれば、そこに有機JAS認証は必要ありませんし、ない方がいいです。

隣のおばちゃんから無農薬野菜をもらう時に、いちいち証明はいらないですよね?

逆に「そんなに信用できないならやらないしもう来るな!」と怒られます。

 

敷居の高さと見返りのバランスが全くとれていない

有機農産物を流通、販売する上で必要とされる有機JAS認証ですが、生産者には栽培上の難点克服と共に、日々の工程記録が義務付けられ、高価な認証費用の負担や罰則などの責任も課される敷居の高いものです。

こうした敷居の高さゆえに、認証を受ける生産者がわざわざ苦労を台無しにするような偽装や不正をしないのは、この認証制度の利点の一つでもあります。

しかし、「敷居の高さのわりに得るものは少ない」と有機生産者の皆さんは感じられているのではないでしょうか?

農業はそもそもがハイリスクローリターンですが、有機農業はそれに輪をかけてハイリスクローリターンと言われています。

消費者を偽装から守る意味では素晴らしい制度ですが、生産者からすると認証コストが圧し掛かる上、以前の「無農薬」と価格は変わりませんので、「じゃあ後はJASシールを武器に自分で頑張って売ってコストも回収しておいて」と梯子を外された感じが否めません。

 

「無農薬」ブランドの存在理由

それまで、正しいと信じて草の根活動をしていた「無農薬」ブランドの農産物ですが、有機JAS法制定と共に、認証の有無に関わらず苦労して築いた「無農薬」ブランドは違法とされ市場から一掃されました。

無農薬を語って偽装販売していた業者を摘発すればよいものを、何を思ったのか「無農薬」ブランド自体を抹殺してしまったのには驚きました。

でも、トレサビリティ(農産物追跡)がその頃はまだなかったので、不正を抑える為に止むを得なかった感はありますが、今では追跡できますので偽装はしっかり取り締まり「無農薬」ブランドは開放してあげてもいいような気はします。

それでも今でもしっかり根強く残っている「無農薬」ブランドですが、何故違法とされる「無農薬」表記を今でもするのか、しなくてはいけないのか?

中には未認証故に今だ偽装をしているモノもあるかもしれませんが、その殆どが「敷居の高さと見返りのバランスが全くとれていない」からではないでしょうか?

 

オーガニック普及における最大の理不尽

安全で環境負荷の少ない栽培をしている生産者に重荷を課し、環境負荷の大きい栽培が自由に放任されている点です。

人は自由を好み、束縛を嫌う生き物です、人に限らず生きとし生けるもの全てがそうだと言っても過言ではありません。

何を推進したいのか、やっていることが真逆ではないでしょうか?

 

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流通の発達で遠くから様々な農産物が運ばれてくる中、安心できるものを見分ける手段の1つとして、有機JAS制度は有効なのかもしれません。

でも、このようなシールがなくても安心して農産物を手にできるような未来になってほしいです。