カテゴリー: 休閑

そこには映らない農業努力


小麦の前作休閑地

健全な土になるように、安定した収量になるように「しっかりと土づくり」をしてから次の作物に挑みます。
その土づくりのために、収穫という持ち出しをした畑を回復するために、半年~一年かけて休閑を行なっています。

休閑と言えど収穫はしないだけで、耕したり、種を蒔いたり、雑草が増えないよう管理しますので、それなりの労力はかかります。


白詰草(白クローバ)の植物性有機質肥料で次作の小麦が育ちます

慣行農法と呼ばれる大多数の畑では、目に見える収益性のない畑を遊ばせる休閑はあまり行なわれず、失った地力を補うために高濃度窒素肥料(化学肥料)を投入します。
結果として、窒素が突出した養分バランスから病気(寄生虫)が多発するので、それを抑えるため農薬が使用されます。

でもそれは、利益率の低い業種なので「土づくりをしない」のではなく「余裕がなく出来ない」んです。

よく農政とかで農業努力と言うのを耳にします。
ちゃんと肥料をやっているのか。
農薬をかけているのか。
などが求められたりするようです。

栽培期間中に肥料をまいたり、農薬をかけたりするのは栽培期間中なので目に見えやすく農業努力として映るようです。これももちろん立派な努力だと思います。

でも、肥料をまかなくてもいいように、農薬をかけなくてもいいように「しっかりと土づくり」するのが、地味だけど本当の農業努力なんだと理解される時代になるよう願っています。

きっと世界一のダイオウ抜き職人


エゾノギシギシ(通称ダイオウ)

1年中ダイオウを抜いている人はそういないと思います。
世界は広くとも10年以上続けている人は、ここにしかいないと思います。
よって、世界一のダイオウ抜き職人で大丈夫だと思います。

なりたくてなった訳ではないと言うのが、なんともあれですけど。

コツは心の目で根をみるんです。そしてサクっとスコップをさします。主根の5cmより下を狙ってください。あと手首の使い方を学んでください。

未熟者は何度もスコップをさすのですぐわかります。みえてない証拠です。太い根は同じところを寸分の狂いなく毎回しっかり狙ってください。

今年も無事に畑仕事納めとなりました

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Easy Living Terrace B&Bさんから拝借した小雨にひやひやしながら頑張っている姿

この日は次の寒気がきたらおしまいだと思って頑張りましたよ。
そして夜は小麦を磨いてました、製粉もしないとって・・・。
なんでこんなに頑張ってるんだろうと目頭が熱くなりますけど、楽しいんですよね。

そんなこんなで今年の畑仕事はとりあえず一段落して気が楽になりました。
さーてこれで小麦を使って遊ぶことに集中できそうです。

美味しい土づくり

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野草を鋤き込んで寝かせて、野草を鋤き込んで寝かせて…

寝かせる期間は1週間~90日~ひと冬と様々です。

あまり意識せず淡々と何年も繰り返してきたこの作業が、結果的に美味しい土づくりへと繋がっていました。

何だかんだ言っても結局は「農産物の質」=「土の質」ですからね。
「土の質」とは「鉱物の質」によるところもありますけど、ここも結局は「腐植の質」や量なんですよね。
「腐植の質」とはそこに生える「草の質」ですし、「草(農産物)の質」を決めるのは「土の質」です。

一つ一つも大切ですが、なるべく全体を見た方が見失わないですみます。

法則

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小麦収穫後、混蒔したクローバが旺盛になっています

この宇宙には法則というものがあります。人は年を重ねながら遅々として知ることになるのですが、自然と向き合えば向き合うほど(本来これがあたりまえなのですが…)より速く深く知らされます。

この法則の一つ、例えば因果応報もそうですが、「有るのか?無いのか?」等と考えるまでもありません「いかに役立てるのか」なのです。

緑肥

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シロカラシを細断して天日干ししています

緑肥(りょくひ)とは栽培した植物をそのまま鋤き込み、肥料として利用するものです。
肥料にはさまざまな種類がありますが、天然そのままの植物性有機質である緑肥は、その中でも最高のものです。

天日干しをするのは、青々としたまま鋤き込むよりも肥料としての質や地力向上効果が、さらに良くなるからです。

Q.緑肥を鋤き込んでも無肥料?
A.外部より持ち込まないため無肥料とされています。

誰のため?

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自然に返してお休み中の畑とモンシロチョウ

若かりし頃、一番沢山の人の為になる仕事は?と考えました。
生きる上で”衣・食・住”がなくてはなりません。
その中でも”食”が命に直結していますので、最重要だと思いました。

実際に農業に携わった時、知ったことは…

…少し時間はかかりましたけど、有機(オーガニック)に転換するのは最初の動機からするとあたりまえな事でした、その為に選んだ職ですので。

出荷した農産物はいくつもの業者を経由して、最終的に消費者へ届くのですが、誰に届いたのか食べたのか生産現場からは全くわかりません。

でもそれでも満足でした、多数の人に関わっているのは間違いありませんから…。

ある日写真を撮ってふと気がつきました、ああそうか…
…こんな近くにいたんだ。
(人に限定することはなかったんですね)

一大栄養素

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シロカラシとセイヨウミツバチ

人間の三大栄養素:炭水化物・たんぱく質・脂質
植物の三大栄養素:チッソ(N)・リン酸(P)・カリウム(K)

植物栽培において施肥設計をする上で欠かせないNPKですが、中でも飛び抜けて強い影響力を持つのが窒素(N)です。
肥料とは主に窒素の事を指すと言っても過言ではありません。

慣行農法:高濃度無機質窒素投入農法
有機農法:有機質窒素投入農法
自然農法:無投入農法
と言い換えると違いがハッキリするように窒素の影響力は絶大です。

窒素(N)の原子番号は7、空気の約78.08%を占める程ふんだんに存在しています。

マナ

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マメ科緑肥ヘアリーベッチの花(紫)

マナとは聖書に記されている、天から降ってきた不思議な食べ物です。

遠い昔のお伽話のようなマナですが、植物界に目を向けると現在でもマナが降り注ぐ様子が見られます。

雨の養分量(年間ヘクタール当たり)
窒素約3~7kg、リン0.4~0.7kg、カリウム3~8kg、カルシウム9~11kg、マグネシウム1~3kg
(※)作物にとって雨とは何かp50(農文協)
(※)窒素・リン酸・カリウムは植物の三大栄養素