月: 2016年12月

「有機小麦の栽培への思い」を書ける範囲で書いておきます

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小麦畑に根雪になりそうな雪が降りました、一緒には歩いていません

「有機小麦の栽培への思い」とのご質問を受けました。
そんなに大層なことではないですし、隠すことでもないのでここに書いておきます。

※順序に意味はありません

有機栽培をする理由

  • 安心・安全を求めている消費者がいるから
  • 環境にやさしいから
  • 永続性があるから
  • 美味しいから
  • 健康にいいから
  • 喜ばれるから
  • 癒されるから
  • 収益性が高いから(低い場合もあります)
  • 作業が楽だから(大変な場合もあります)
  • 総合的に見ると一番優れていて利点も多いから
  • 消費者や行政の理解が得られ、できる状況にあるから

小麦栽培の割合が多い理由

  • 共生できる雑草の種類が多い
  • 畑での機械作業の回数と時間が少なくてすむ
  • 手取り除草が苦にならないし楽しい場合もある
  • 地力の損失があまりない(草生栽培の場合)
  • 畑ができていく様子が目に見えてわかる

有機小麦の栽培への思い

小麦や小麦粉に関わる方、実際に使う方、とくにそれで生計を立てている方々に接するようになってから、一段と生産に対する姿勢が変化したと思います。

今更ですが、国産小麦はもうすでに国際競争に敗れ安楽死していて、現状は交付金によって黄泉返らされているにすぎません。

農産物の現状を学べば学ぶ程、つきまとう理不尽や虚しさですが、一部の心ある方々によって国産小麦、有機小麦が支えられているどころか、活気づけられようとしているのを目の当たりにしてから、また一段と姿勢が変化しました。


職人さんは早ければ朝2時から仕込みが始まるそうです、ほぼ毎日の習慣となっています。
(この生地には穂発芽の有機キタノカオリ2016が70%使用されています)

「正直ものが損をする」とは古き日本のことわざ・教訓ですが、有機栽培や自然栽培を通じ大自然と心を通わせる日々で学んだ絶対法則はそれとは真逆のことでした。

有機栽培も有機小麦もたった一つの理由「心に従っている」だけで、数ある理由は後付けにすぎないのかもしれません。
「~栽培」も職業もそのあり方もその人の心を反映しているにすぎないと思っています。
人は口ではなんとでも言いますので、嘘をつけない部分に視線を向けるとその人の思いが見えると思います。

でも、一応書いておきます。
子供とお年寄りが気軽に知らずに手に口に出来るようにという気持ちが強いです。
近くの生産者に理解されたいという気持ちが強いです。
病気なんてなくなってしまえという気持ちが強いです。
もっと自由に幸せになってほしいという気持ちが強いです。
世直しは考えていません。

わからなすぎる!?アリューロンブレッドの完成形は?

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初試作のアリューロンブレッド、bioキタノカオリ2016-af40-100%

※af40:Aleurone Flour 40%タイプ

初試作のアリューロンブレッドは酸っぱくなり過ぎたとのことでしたけど、よくあるルヴァン種の酸っぱめカンパーニュと同程度の酸味に感じました。
酸味以外の味はそんなに美味しくも不味くもない印象でごく普通かなと、ふすま微粉も含まれているので風味は濃いです。

しっかり膨らんでおり、膨らまないのでは?の懸念は払拭されました。

独特なのはそのトロっとした切り口で、これが低アミロによるものなのか、低デンプン高たんぱくのアリューロン層の特性なのかは不明なままです。

とにかく変わった粉なのはよくわかりました、と同時に突き詰めたときの完成形が全く予想できません。

膨らむのか?:膨らむ、美味しいのか?:謎、健康によいのか?:謎、売れるのか?:謎、向く用途は?:謎。

多くの謎を残したまま、アリューロン試験はひとまず終了です。
とても楽しく有意義な4日間でした、ご協力ありがとうございました。

偶然の産物!?アリューロンフラワー誕生!

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アリューロン層を多く含むアリューロンフラワーのプロトタイプ

小麦の外皮(ふすま)と胚乳(白い部分)の境界約6~7%はアリューロン層(糊粉層)と呼ばれ、独特の成分構成をしています。
※玄小麦の構造はざっくりと、外皮約15%、胚乳83%、胚芽約2%。

細かい話はさておき、(小麦以外で)「皮ざかいが一番美味しい」のセリフを誰もが一度は耳にしているのではないでしょうか?

その貴重な「皮ざかい」を余すことなく多く含む小麦粉が偶然の産物として誕生しました。
※当然ながら史上初ではないと思います。

とりわけたいした事ではないのですが、手順はこうです。

  1. 玄小麦の外皮を10%程度削り取る。
  2. 1を原料に粒のまま割れないように外側から20~40%削っていく。
  3. 2で削り取った微粉を篩がけして完成。

削り幅は任意ですが、今回は40%のものできめ細かなパウダー状になっています。

本当は中心部が欲しくて削ってたんですけど、こっちのほうが美味しそうだったという、精麦のおまけのお話でした。

もし、もの凄く健康によいとしても美味しいとしても、なんとなくうちでは作らないとしばらく後にそう思いました。