カムホに見る育種法と楽しく夢のある農業の可能性


カムホ2017.bio しっかし、まさかこの時期に雪が積もるとは・・・。

現代の小麦の育種においては、農業試験場などの専門機関で集約して行なわれ、数年に一度のペースで新しい品種がリリースされます。

これはこれでよいシステムだと思います。

あたりまえですが、性質の異なる2品種で交配します。
例えば風味のよいA品種と病気に強いB品種を両親にして、風味がよく栽培しやすいC品種になることを期待します。そして上手く期待通りの品種が誕生したら、そこからまた何年もかけて固定していきます。1年目がF1で10年目でやっとF10です。年に何百種類も育種してリリースは数年に一度なので、どれだけ時間と根気がいるのかわかると思います。まず個人の農家がやってみようと思うことではありません。

カムホにおける育種?の概念はパン屋さんが直感的に行なうブレンドと同じで、そのまま混ぜます。

例えば超強力粉のゆめちからと中力粉のきたほなみをブレンドしてパンに向く小麦粉を作る方法は有名で、時間も根気もいらずにすぐ新タイプの粉を作れます。

カムホの混蒔手法は、小麦粉ブレンド手法を真似て種を混ぜて蒔き、品種交配手法を真似てオリジナル品種に固定育種していくものです。
長所は効果がすぐにわかること、多品種交配が容易くできること、その都度修正できること等です。
短所はちゃんとしていない、交付金が減額になる等です。

美味しさの追求や栽培しやすさの追及が個人で簡単にできる良い時代になりました。忘れてはいけないのが、こうした混蒔手法ができるのは、育種機関が長年をかけて優良な個性的な品種を多数世に出してくれたお陰だと言うことです。

現状ではちゃんとしていない農家育種の混蒔手法ですが、もしね、それでも評価の高い小麦が産み出せると市場の理解を得られたとしたら・・・。
ただ単純な繰り返し作業になりがちな買った種を増やすだけの農作業から、本来の農業の持つ楽しく夢のある忘れ去られた部分が見えてくるかもしれません。